服装 装備 受け売り乗馬教室先頭ページに戻る
ホームへ

 乗馬をやってみようかなという段階では、高額な装備などは買い揃えない方が良い。「思ってたほど、面白いものじゃあないなぁ。止~めた」というときに、大金をどぶに捨てることになりかねない。道具は行った先の乗馬クラブで借りれば済む。Gパンなどのズボンと運動に適した靴・靴下、スポーツに適した上衣の類だけを自前で持って行けば、ほかには何もいらない。

 ただし、貸出装備が乏しいクラブもあるから、事前に何が借りられるか確認要。

 見てくれに構わず、とにかく馬に乗って楽しむだけというのならそんなに金を掛ける必要は無い。もちろん、最初に金を掛けて装備を揃えて、「止めたら大金が無駄になる」と自分を追い込んでおくのもありだけど。。。

 乗馬を継続的にやっていこうということになっても、簡単な夏向きの服装なら、こんな恰好で可。
簡便な服装
 これなら安上がり。買うのはチャブスぐらいのもので、あとの服装はありあわせのもの。ヘルメットは無料で使わせてくれるクラブも結構ある。短鞭はだいたいがタダで使わせてもらえる。

  このスタイルから改善するとすれば、

(1)ボディプロテクターを着ける‥‥プロテクタをつけていると、落ちたとき背中などへの衝撃が格段に低減される。安全重視でプロテクタを着けたい。レンタル用のプロテクタを置いているクラブも多いから、借りて着用しよう。

(2)短靴・チャブスを(合皮)長靴(ちょうか)に代える‥‥ゴム長靴では、足首がブカブカしてお勧めではないが、合皮ないし本革の長靴は足首をしっかり支えてくれて、なお、足首の柔軟性も失われず、脚扶助(足による馬のコントロール)を助けてくれる。お金を掛けるなら、最初は長靴にお金を掛けたい。

(3)手袋をつける‥‥ゴルフクラブを握るときに手袋を付けるのと同様、革(合皮)の手袋をつけると手綱をしっかり持てるので、手綱のコントロールが確実になる。手袋は付けた方が良い。

(4)サングラスなどをつける‥‥夏など人の目の周りを飛び回る小さな羽虫が発生することがあるが、こうした虫除けや、紫外線よけのためにサングラスを掛けると良い。

(5)ジーンズをキュロットに代える‥‥長靴やキュロットは、乗馬に対する本気度を表すシグナルになる。

(6)半袖Tシャツを襟付き長袖に代える‥‥長袖にしたからといって骨折などが防げるわけではないが、腕などに擦り傷など負いにくくなる。また、ゴルフでTシャツはダメというドレスコードがあるように、乗馬でも、襟のあるポロシャツの方が良いかも。服装を気にする人には、Tシャツにジーンズだと、ちゃんと身をいれてないなぁという印象を与えてしまうかもしれない。

 日本馬術連盟主催の競技会では乗馬ズボンに長靴でないとダメ、シャツの色も白というドレスコードがあるようだ。なにごとにも伝統に基づいたシキタリというものがあるから、チャブスなど肢に巻いて出場されて雰囲気が代無し、とんでもないと言われるのは仕方がないのかも。それに乗馬文化発展のためには、それなりに業界に金が回っていなければいけないので、ケチるばかりではいけないかも。

 競技会用(馬場馬術)での正装はこんな感じ。
馬場馬術正装
 日本馬術連盟主催の公式馬場馬術競技会にはこのような服装でないと出場できない。シルクハットはポーラーハットでも良いと規定されている。鞭は持たないが、拍車は付けなければいけない。ただし、ローカルな大会などではドレスコードはもっと緩く、鞭などももって良いこともある。オリンピックの馬術競技でも頭にはヘルメットをかぶって演技しているから、シルクハットの代わりにヘルメットでも良いのかも知れない。

 色も決められている。赤や緑などは認められていない。基本的に白と黒(あるいは濃紺)で揃える。ネクタイの形も決められている。

 これを全部買い揃えるとなると結構な費用が掛る。そのうえ、馬を競技会場まで運ぶ費用、競技会場で馬の面倒を見てもらう費用などだけでも10万円を超える経費がかかる。正式競技会に出ようというのは、技量もさることながら、費用面でもハードルが高い。

 障碍競技の場合は、燕尾服でなくて普通のライディングジャケット、色もカラフルなものが許されている。またシルクハットの代りにヘルメットをかぶる。短鞭は持っても・持たなくてもOK。柔道の道着の色がカラフルになったように、そのうち馬場馬術の上着もカラフルなものが認められるようになるだろう。

 自前で装備をそろえていくなら、(1)ヘルメット(安全上必須)、次が(2)合皮長靴(脚扶助がやりやすい)、使わせてくれるなら(3)拍車、障碍をやるなら(4)ボディプロテクター、次が(5)鞭や手袋などで、最後が(6)キュロットと順に買いそろえていけばよい。ボディプロテクター着用必須のクラブでは、もちろんプロテクターを最初に購入しなければいけない(クラブで貸し出しもしているかな?)。

 ジーンズなどで乗っていると「乗馬をちゃんとやろうと思うならキュロットくらい買いなさいよ」と露骨に言われたことがある。用具・服装に金を掛けてないと、本気度を疑われたりする。空手の道場へ通っていて、いつまでも体操着やジャージーで習っていては、本気度を疑われるようなもんだろう。


身に着けるもの

靴(長靴 または 短靴+チャブス)
 ブリティッシュの鞍で乗る場合、靴は、脹脛を保護するようにできていないと、鐙をつっている皮(鐙革)と鞍(あおり革の部分)に脹脛が挟まれてミミズバレになる。

 こうなると痛くて乗馬を楽しむどころではない。だから、脹脛の保護は必須。ウェスタンの鞍は鐙をつっている部分の構造がブリティッシュの鞍とは違うので、特別に脹脛部分をチャブスなどで保護する必要はない。

 だからブリティッシュの場合は、脹脛部分を包んでくれる長靴を履くか、足に巻いて脹脛を保護するチャブスと短靴を組み合わせることになる。

 この写真はチャブス(茶色い部分)と短靴の組み合わせ。チャブスはこのように脹脛をしっかり保護してくれる。

 革製・布製いろいろあり、なかには付けた外見が長靴そっくりなものもある。




 長靴は革製とゴム製の2種類がある。

革製長靴(合皮ないし本革)
長所:
・蒸れがゴムよりすくない
・足首部分に柔軟性がある
・華麗で恰好が良い
正式な競技会で使える
短所:
高価格。ただし合皮なら2万円台からある。
・手入れが面倒(カビや硬化防止など)。
価格: 3万円~20万円
(数十万円の高級品もあり)
ゴム長靴
長所:
・価格が手ごろ
水や汚れに強い
短所:
・蒸れやすく夏場は内部が汗でぐっしょりに。
足首に柔軟性が無くガバガバで靴の中で足が滑って微妙な扶助は難しい。
・外部は丈夫だが、内張りなどが損傷しやすく耐久性低い
価格: 1万円~2万円
短靴 + チャブス
長所:
価格が手ごろ
・足首の柔軟性大
・保管に場所をとらない(靴、チャブスを分けて小さく保管できる)
短所:
・見てくれがよくない。但し、長靴まがいの高級品もある。
・服装規定がある競技会では使えない。
価格:1万円~5万円5千円~3万円
 技量不足を道具で補ってもらうこともできるという指導を受けて、合皮の長靴を買ったが、足首がしっかり保持され具合が良い。道具に最初に金を掛けるなら革製(合皮でも)の長靴を最初に買うのが良いかも知れない。

ズボン(キュロット)
 乗馬用ズボンとして売られているキュロットは1-3万円。ちょっとでも¥をケチろうと思ったら手持ちのGパンなどで済ませることになる。
 乗馬クラブのHPなどで、キュロットでないと普通のズボンでは股ずれをおこすのでよくないなどと書いてあるが、これはキュロットを買わせるための誇張。ジーンズもキュロットも縫い目の処理などは同じで、キュロットは特に縫い合わせ目が出っ張らないように作ってあるというようなことはない。

 ただし、キュロットは伸縮性がよい生地で作ってあるので脹脛などをぴったり包んでくれる。しかし、今はジーンズ生地のキュロットもあるくらいだから、肌にやさしい生地のスリムタイプのジーンズなら、穿き心地・乗り心地ともに良好。

 足を保護するために厚手のものが良いように思えるが、足は長靴やチャブスで保護するので、薄手のもので充分。特に夏場は暑いので薄手でないと汗をかいて大変。

 馬に乗っているとき、尻は鞍の上で滑らせてはいけないので、ズボンは滑りの悪いものの方が良い。乗馬用として売られているズボン(キュロット)の尻革も滑り止めだということ。Gパンならそれほど滑らない。

上衣
 ありあわせの、ごく普通のスポーツシャツなどで充分。襟が付いている方が、見てくれがよいかも。

 ただし、馬が驚くような音がする装飾品とかがついていてはいけない。

 また、落ちてどうこうということを考えると、多少暑くても長袖がよい。


手袋
 なくても構わないなどと言っていたが、革(合皮)の手袋をつけると、手綱をしっかりと持てるので、手綱を使った扶助が確実になる。

 また、落馬したときに手綱に指が引っかかって全体重が指に掛かって指先(特に薬指の指先)を骨折することがあるが、手袋を付けているとこの危険が多少軽減されるらしい。へにゃへにゃの手袋で骨折が防げるとは思えないが、無いよりはましかも。

 手袋は消耗品だから、合皮製など比較的安価なもので済ませたい。

ヘルメット
 これは必須。馬に乗るなら必ずかぶることこちらには落馬で脳挫傷になった方が、ヘルメットの重要性と落馬による脳損傷の危険性を自身の経験から解説している。後遺症の残る脳障害にいたったという。

 顎紐を必ずきちんと締めておく。ちょんと頭に載せただけでは、落ちる途中でヘルメットは外れて、まったく役に立たない。

 自分の安全のためだから自前で購入すべきだが、無償で貸してくれるクラブもたくさんある。

 乗馬を続けることが確実で、レンタル料が掛かるなら購入した方が良い。数十回分のレンタル料で買えるはず。

ボディプロテクタ
 以前「ボディプロテクタを着けておけばよかったというのは一度もありません」とか書いたが、馬場内でひどい落馬を立て続けにして、「ボディプロテクタは付けるべきだ」と反省。下が岩だとかアスファルトなどの堅いところでの外乗には、プロテクタは必須。

 ただし、サイズが適切でないとダメ。エアーバッグ式のプロテクタを着けていたが、落馬して仙骨を骨折した人に話を聞いたら、エアーバッグは動作したのだが、プロテクタのサイズがSサイズだったため、腰の下部までプロテクタが届いておらす。役に立たなかったそうだ。

 某大手乗馬クラブはプロテクタの着用が必須だそうだが、とても良いこと。事故ってから後悔しても始まらない、安全対策にやりすぎはない。

 プロテクタを付けていると、落ちたときの背中への衝撃などが格段に低減される。普段乗りなれていて人を落としそうもない馬でも、しょせんは馬だから、どんな拍子に人を振り落とさないとも限らない

プロテクタ  背骨を傷めて半身不随とかまっぴらだから、背骨だけは何としても保護したいと、乗馬用のプロテクタを探すと、これが高い。

 しかし、要は背骨や要所を保護してくれればよいのだから、ということでバイク用のプロテクタを探したら左の写真のようなものが8000円程度であったのでこれを購入した。

 胸腹部・脇腹・肩などの保護は無いので、落ちて腹や胸を踏まれることには無防備だが、脊柱・腰椎の保護は十分。大体が腰や背中から落ちるから、第一段階の保護具としては十分。

 軽いし、暑苦しくもなく快適。腹部が気になる人は、腹部も保護できるバージョンもあるから、そちらを買うとよい。

拍車
 馬によっては、拍車がないときびきび動かないのもいれば、拍車を嫌うのもいる。

 張り切って拍車を着けて乗ろうとしたら 「拍車を外して」と言われたり、逆に、着けないでいて「拍車はどうしたの。着けないんじゃきびきびとは動かないよ」といわれたこともある。

 行きつけのクラブが「拍車をつけなさい」というなら買った方がよいし、「拍車は付けないで」というなら買う必要はない。安価なものは2千円前後。

鞭(短鞭あるいは長鞭)
  馬は賢いので乗っている人が鞭をもっているかどうかで態度を変えたりする。持っているぞと見せるだけで怠けている馬をきちんと動かせたりする。だから鞭は使わなくても持って乗る方がよい

 ただし、馬が鞭に敏感(たとえば、鞭打たれなくても、鞭を見ただけで鞭打たれたと同じ反応をする)で、乗っているときに拳が安定せずに鞭があちこちフラフラするようなら、鞭は持たずに乗る方が無難。

 障害には短鞭、馬場馬術には長鞭を使うが、最初に買うなら使い勝手が良い短鞭がよいと思うのだが、「今日は鞭を使って乗りましょう」などと言われるときは、たいてい短鞭でなく、長鞭を持たされたりする。だから長鞭を最初に買ってもよいのかもしれない。

 まあクラブで一番余っていて、そこらにごろごろしているのが鞭だから、だいたいはタダで使わせてくれるから、ずっと借りて済ませてもよいかもしれない。

その他用意すべきもの

外傷薬など
 これは登山の装備の講習会で教えてもらったのだが、ペットボトルのキャップに小さな穴を明けておいて、水の入ったペットボトルにそのキャップをすると、傷を水で洗い流すのにとても重宝する。落馬するとすり傷などはほぼ必ず負うから、まず水で泥やごみを洗い流すのが応急処置の第一歩、これは役立ちそう。目にゴミや羽虫が入ったときも重宝する。場内なら降りて水道をつかえるが、外乗では水道など使えないから、これは外乗の必須アイテムだ。

 簡単な傷薬や応急バンなども、もっていったほうがよい。クラブに常備薬が置いてあるが、きちんと整備されていない可能性もある。

サングラス
 目に羽虫が飛び込んだりするのを防ぐ、あるいは、紫外線よけのためにサングラスなどを着けるとよい。

ウエストポーチ
 外乗などの場合 簡単な傷薬や応急バン、水、カメラなどをウェストポーチに入れて持って出るのが良い。ウェストポーチは財布などを入れるにも便利。尻ポケットに財布をいれて外乗に出て、財布を落として困ったことがある。百回以上外乗に出ていて、尻ポケットの財布を落としたのは初めてだったのだが、オーナーに言わせれば、乗馬で尻ポケットに財布は絶対にダメだと。どうもそれまでは単に運が良かっただけらしい。


 上記のようなものを安く手にいれるにはネットで在庫一掃セールやオークションの出品を探すと良い。ただ、乗馬というスポーツジャンルはまだマイナーなのか、そう頻繁にセールなどがある訳ではないので、辛抱強く待たないと安値入手は難しい。


 鞍や頭絡が上の一覧には入っていないが、これらは自分で馬を所有しているのでなければ買う必要のないもの。

 乗馬クラブによっては会員に鞍の購入を勧める(強制する?)ので有名なところもある。自分にぴったりした鞍で練習すると上達が早いなどと言って勧めるらしいが、本来鞍というのは、馬の背の寸法を測って、馬に合わせて作るもの。自分の馬を持っていないのに人間にだけ合わせて、馬には合うかどうか判らない鞍を買ってもしょうがない、というか馬がかわいそう。

 それに、だいたい4~50万円はする高価なものだから、出費的にも鞍を買うというのはちょっと耐えられない。ほぼ一年分の乗馬費用に相当するからなぁ。


このページ先頭へ 受け売り乗馬教室先頭ページに戻る