馬に乗ってどこを見るか? 受け売り乗馬教室先頭ページに戻る
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 人間は感覚の大部分を視覚に頼っているので、目から取り入れた情報に大きく影響される。視覚からくる錯覚などにより体勢が崩れたりするので、H先生は、馬に乗っているときに『どこを見るか』が大変大事なことだと厳しく注意する。
 ただし、私は見た方向に傾く悪い癖がひどいので先生はやかましく言うが、そういう悪癖の無い人はごく普通に回るときは進行方向を見てよい

 自分に酷い傾き癖があるかどうか、下の「自己チェック」をクリックして自分の「傾き癖」を確認してください

自己チェック
 自己チェックで内側に傾く悪癖が無く真っ直ぐ乗れていると判った人は、外側の手を見ろとか、回る方向と反対に顔を向けよなどのやり方は有害無益じゃあなかろうか。以下は酷い悪癖のある初心者が前提

馬上からの目配りとソフトアイ
 馬上からは馬の前髪の上あたりを見る。CRでいうソフトアイ。
曲がるときの目配り
 どうしても回転の内側に目が行くが、内側を見るとろくなことはない。 
障害飛越時の目配り
 障害が気になり、これを注視。これもダメだと先生は言う。

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・目線と姿勢はつながっている
ちょっと目玉を動かしてどこを見ようが、目玉だけ動かすぶんには何の影響もないようだが、じつはそうでないらしい。

 ある方向を見るということは、その方向に集中するということなので、無意識に全身がなんらかの反応をしてしまう。特に、馬上姿勢が安定しないうちは、自分が感じる以上に目からの情報によって上体が影響をうける。

 たとえば、右に曲がろうとして馬上から曲がる先の地面を見ると自然に体が右前に傾く。そして、右下を見ているかぎり、体が右前に傾いたことを認識できない。その状態から、上体を動かさずに顔だけを左に捩じって左肩の方向を見ると、自分の体が大きく右に傾いていることに初めて気が付かされる。不思議なものです。


 これは馬に乗っているところを真後ろから見た絵。

 ここで右に曲がろうとして右下の地面を見たとする。右下を見るときに右に傾くから要注意と思って乗っているので、自分では右上の絵の程度の動き(顔が若干右下を向く程度)だと思っている。
 ところが、H先生が私を見ると、右下のような傾いた恰好らしい。

 上級者になればこのようなことはないのだろうが、まだ万事余裕のない初級者を脱しておらず、見る方向に意識が集中して全身がその方向に反応してしまうらしい。

・正しい目使い
 馬に乗っているときは、馬の両耳の間10cmほど上に円があるとしてその円を通して見るようにする。円を通して見るといっても、この円を注視するのでなく、視野の中央にこの円を置いて、全体を眺めるようにする。

 こうすると馬の速さに負けずに全体が認識ができるので 乗り手が速さに負けてパニッくったりせずに済む。たとえば、障碍を注視していると障碍の幅が狭く見えるが、障碍を見ずに10m以上先に視線を保つと、障碍のほうからこちらへ近づいてきて、近づくにつれて障碍の幅が広くなるように感じて余裕が生じる。H先生は「ちゃんとした目使い」ができないと障碍は跳べないよ、と言う。
馬の耳の間を見る
 両耳の上の空間に円を想像して、この円を通して周囲を眺めるようにする。
 障害を飛ぶときなどはもっと先(障害の10mほど先)を見て 決して障害そのものに目を奪われないようにする。
 障害を見ると スピードが速く感じられて 騎乗者が慌てる。
 長蹄跡では遠方を、短蹄跡では4-5m先を見るようにする。

 また、このように馬の耳の間から見るメリットは、馬が動こうとすると最初に頭の動きとして表われるので、馬の動きを予知できること。たとえば、馬がなにかに驚いて急に横に跳ねる、といったときにも耳や頭に最初の動きが現れるので、良い目配りに示したように見ていると、予兆が判って準備が整えられる。

・暴走対策(パニック防止‥‥ 乗り手のです)
 とても風の強い日に乗った。馬場の周りの木々が風にあおられたりするたびに馬はビクビクしている。柵のすぐ外の斜面に近づいて速足をしていたときに、突風が吹き小枝のようなものが飛ばされてきて、馬は驚いて馬場の反対側へすっ飛んでいった。反撞がとても高い尻ッパネをしているような駈歩。この時に落ちていれば、きっと「馬が跳ねたから落ちた」と思っただろう。もちろん手綱を控えても止まってくれない。こりゃぁ落とされちゃうかなとビビったが、H先生はなぜかニコニコして見ているだけ。

 なんとか落ちずに止められたが、数分後にはまた同じことが起こった。こんどはH先生は「馬の前髪を見て」と注意。で、馬の前髪のあたりに目を注ぐと、今まで暴れ馬のようだったのが大して危険な動きをしていないように思えて、余裕がでた。というか、実際に馬はそれほど危険な動きをしていなかったのだ。

 「こりゃ落とされる。あそこに落ちたら痛いかな?」などと泡を食って地面を見ると、馬の上下動がとても大きく感じられ、馬が乗り手を振り落とそうとしているようにも思えて、ますます焦ることになる。とんでもない暴走をされた、と思っていたが、H先生が言うには、ごく普通の駈歩をしただけ。

 馬の前髪を注視すると、馬の動きが小さく感じられ落ち着きを取り戻すことができる。前髪を見ると馬の頭の動きもよく判るから、次に馬がどう動こうとしているかも見当がつくようになる。「あそこへ落ちるか、あの柵にぶつからないか」などと馬を見ずにまわりばかり見ていると、馬がどうなっているか判らず、ますます恐ろしくなる。

 こりゃぁ危ない暴走だ、というようなとき「前髪を見る」は魔法の呪文のように効果があるのではないかと思う。万一の時に試してみる価値は充分ある。


以下はCRの受け売り。

・ソフトアイ

 CRでは乗馬の四つの基本の第一番目に「ソフトアイ」ということを提唱している。他の三つは、呼吸、重心を合わせる、体を下から上にバランスよく積み上げる、です。ソフトアイの具体的やり方は、先生が教えてくれたように、馬の耳の上の空間を見る方法。以下はCRでのソフトアイの解説。

  ある物体に注目して、周辺には目もくれず、それがどんな形か、色か、様子かなどを厳密に見定めようとして見る目をハードアイと呼ぶ。これに対して、その物体を見るのだが、視野を広くとって、上下左右を十分に広く見て、周辺視でその物体を見るのをソフトアイと呼ぶ。ソフトアイを使っていれば、認識範囲が広くなって、馬の背の動きもハードアイよりはよく感じることができる。馬の背とか脚とか、耳よりはずっと重要な部品がたくさんあるが、ソフトアイで馬の耳の上の空間を見れば、これらの部品を感じることができる。

 乗馬は右脳の働きで直観的・反射的に乗るのが理想的。あそこでこう曲がる、馬はいまこうなっているから、ここでこうして、などと左脳で分析して対応しようとしても間に合わない。おおむね左脳は、あそこで失敗するのではないか?とか余計なことを持ち込んで右脳の邪魔をすることが多い。左脳を排除して右脳を支配的にするためには、ソフトアイを使って正しい動作、扶助、馬からうける感覚、そのとき馬や人がどう見えるかなどのイメージを右脳に蓄積する。右脳にこれらが蓄積されたら、自動的に反応して乗れるようになる。ハードアイは左脳を活発にして、右脳のはたらきを邪魔する。  

障害飛越時の目配り 曲がるときの目配りへ このページ先頭へ
 障碍などがあると、どうしても気になるので横木や障碍を注視してしまいがちだが、絶対に横木や障碍を注視してはいけないとのH先生の言。

良い目配り
前方十数メートル先を見る 横木や障碍を越すときも、決して横木や障碍を見てはいけない。

 この絵のように前方10-12mのところを見るようにする。

 こうすると横木や障碍に近づくにつれて馬の通路が広く開けてくるように見える。

 この目配りを憶えないと障碍を跳べるようにはならないとの先生は言う。


悪い目配り
決して横木や障碍を注視してはいけません この絵のように横木や障碍を注視してはいけない。

 横木や障碍を注視すると、顔が下向き、背中は丸まって、つま先立ちになって踵が浮いてしまう。

 そして、横木や障碍が近づくにつれて通れる幅がぐっと狭くなってくるように感じてしまう。

 そうすると馬が左右にずれていた場合には慌てることになるし、まともに障碍を飛べなくなる。

 そうは言っても、ちゃんと跳べるかな?とか、どのくらいの高さがあるのかしら?真ん中を跳べるかしら?などといろいろ気になるので、どうしても横木や障碍を注視してしまいがち。

 けれども、他の先生は皆さん「障害の方向をきちんと見ろ」と言う。H先生の指導は、そういう一面もあるかもということにとどめて、障害の方向をきちんと見据えるべきかもしれない。


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