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 障碍飛越(障害飛越)はとても気持ちの良いもの。宙を飛ぶ感じを味わえる。外乗とならんで乗馬の醍醐味の代表格。

 しかし、楽しみも大きい分、リスクもある。落馬事故はほとんどが障碍飛越に絡んで起きている。このため、ビジターでは障碍は飛べませんとか、障碍のレッスン料金を通常のレッスン料よりも高く設定してあるクラブもある。

 障碍飛越では、ジャンプという大きい動きをするためにバランスを崩しやすく、馬に思いがけない動きをされると簡単に落ちてしまう。といっても、馬が悪い訳ではなく、騎乗者が無意識に、あるいは、間違って手綱を引っ張ったり、バランスを崩したりすることに原因がある。ところがこちらは未熟だから、落とされると反省よりも 「コンニャロウ、なにもそんなひどいことをしなくてもいいじゃないか」と馬に文句を言いってしまう。

急停止  で、障碍飛越での落馬は、
(1)飛んだときに騎乗者の尻が跳ね上がった鞍に突き上げられて騎乗者は馬の背から大きく跳ね上がって前方へ落下(馬も人も障碍の向こう側へ)、
(2)飛ぶ寸前に馬が急停止、あるいは、真横に急カーブ、騎乗者はそれまで進んでいた方向へ放りだされる(馬は障碍を越えず、騎乗者は障碍の向こう、あるいは、手前に落下)、
(3)障碍を跳んで馬が着地したあと、馬が方向変換をしたときに馬についていけず馬上から放り出される
というのが3大落馬パターン。

 最悪は飛越したあと馬が着地に失敗して(たとえば、着地した前足で重さを支えることができずに転んで)馬が地上で前方回転して人はその下敷きになる人馬転。騎乗者の技術でこうした事故を防ぐことはなかなか難しいように思える。運が悪かったということにするしかないのでは?という気もする。こういう事故まで考えたら、静岡の先生が言うように「障害なんて年取ったら危ないよ、小技で楽しみなさい」というのももっともだ。

 落馬パターンの(1)にならないようにするには、きちんと鞍から尻を離して乗って、鞍に下からカチあげられないようにすることが肝心。(2)は手綱に頼らずに体の前後左右のバランスをとる、左右の手綱のバランスをとる、両脚のバランスをしっかりとって馬をまっすぐ障碍に向けることで防止できるのかな? (3)にならないためには、馬に常に真っ直ぐ正しい姿勢で乗っていられるようにならないといけない。普通に走っているときはそんなに体勢が崩れはしないから、馬についていけるが、障碍を跳んだあとは体勢が崩れていることが多いので、馬が埒まで進んで方向転換したときに、埒外に放り出されるというようなことが多いらしい。

 で、(1)のために、尻を上げて鞍に尻が接触しないようにして乗る練習をしておく必要がある。脚で鐙に立って乗る(ツーポイント)の練習が大切。


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 常歩あるいは速歩で馬を進め、適当なタイミングで鐙に立って尻を浮かせる練習をする。

 馬場に横木を置いて、馬がそれを跨ぐためにちょっと首(頭)をあげたタイミングにあわせて腰を鞍から浮かせる。馬が横木を越すとき、横木を見てはいけない。横木を見るとスピード感が増す。目線は横木の10mほど前にする。

 横木を置かなくても、自分でタイミングを想定して腰を浮かせる練習でも良い。

 立つときは、踵を下げて、全体重を鐙に掛けて、背をまるめず反らせ気味にして上体を前に倒す。のろのろ立たずに、サッと立つ。
腰を浮かせる(2)
 高く立つほど上体を深く倒す。尻はやや後ろに引き気味になるが 鞍の後橋に尻は絶対に当たってはいけない。尻と鞍の間に充分な余裕がないということは、鞍が跳ね上がったときには、鞍が尻に追突して跳ね上げられることになる。

 実際に障碍を飛ぶときは 前進の勢いに負けないようにするので、立つときは斜め前方に立つので、尻が後ろに引き気味になることはない。同じ歩様を続けていて立つだけだと加速がないので、バランス上、尻はやや引き気味になってしまう。ただし、教本によっては、ジャンプ時水平方向には加速することはない(特に駈歩でアプローチした場合)から、前に立ち上がるのは間違いだという説明もある。

 顔は顎を出して顔面を垂直にする。腕は前方に出して手綱を譲る。

 最初は立ったらすぐ座ってもかまわない。スムースに立てるようになったら、立ったままの姿勢を継続することも練習。また、棒立ち乗りのまま(立ったり座ったりせず)横木を越える練習もバランスの強化に役立つ。



立ち乗り(ツーポイント) 腰を浮かせる練習へ このページ先頭へ 障碍飛越べからず集へ  受け売り乗馬教室先頭ページに戻る 

 ツーポイントで乗る練習は障害の飛越には必須。

 常歩、速歩、駆足でそれぞれ練習する。馬体の上下にあわせて膝で馬体の振動を抜いて、騎乗者の頭が上下しないように調子を取る。最初は2,3歩でバランスを崩して手をついてしまう。リズムの狂った軽速歩みたいな感じになるが、練習するうちにだんだんと長くバランスを保てるようになる。立てるようになったら 手綱を握った拳はやや前に出しておく。

 この姿勢の練習は、立ち乗り(棒立ち乗り)の練習を徹底的にやっておけば、楽にこなせる。


 まず前傾をまったくせずに、鐙に真っ直ぐに立つ(棒立ち)。鐙は浅く踏み 踵を下げて、全体重を鐙に掛ける。最初は常歩で練習。

 体の前後のバランスは鐙と脛の内側の二箇所(左の絵の緑の楕円で囲った部分)で支えて安定させる。

 真上に真っ直ぐ立つとだいたいは後ろへ倒れる。後ろへ倒れないようにするためには、この絵のようにかなり鞍の前の方に、体が前に倒れるくらいのつもりで立つのが肝心。

 すると鞍の前橋を通り越して前に転げ落ちるのではないかと怖くなるが、お腹に力を入れてへそを前に出すつもりで立つと前に倒れそうな怖さが薄れる。

 この棒立ち乗りができたら、下の絵の前傾姿勢で練習する。

たち乗り 上の絵のようにまっすぐに立つと、坐骨は鞍壺の真上にはこない(ほとんど鞍の前橋に近いところの上に坐骨が位置する)。

 坐骨は鞍壺の上に位置するのが理想なので、上の絵の姿勢から膝は曲げずにお尻を後ろ下げる。当然、前傾しないと後方に倒れて鞍の上に尻餅をつく。バランスを保って前傾して、坐骨を鞍壺の上に位置させるようにして安定を保つ。

 脚は単に鐙を踵で踏み下げるのでなく、つま先を上げて両脚の脹脛下部をお尻の真下にもってくるようなつもりで力を入れる。先生は肛門を絞めろという。

 最初は脚だけでバランスをとるのは難しいので倒れそうになったら 鞍を乗せたゼッケンの前縁など手をついて 体を支える。


悪い立ち乗り姿勢 左の姿勢は、つま先が下がっていて(踵が上がっていて) 腰が曲がって 体が前方へ湾曲している。
臍が引っ込んだ悪い姿勢。

 顔も下を向いていて 前を向いていない。

 これでは安定して立てないし、脚も使えない。



補足: 乗馬ライフのバックナンバー(2002年4月 No.127号)を見ていたら、障碍飛越の前提条件としてのツーポイントが紹介されていた。何十年も馬術に携わってきた人が、いろいろ研究した結果、今まであちこちで盛んにやられている指導は間違っていたとして、ツーポイントを紹介(紙上指導)している。
 その記事によると、ツーポイント(左右の鐙の2点で支える)というのは

  (1)静止した状態でのツーポイント姿勢は尻は鞍から浮かずに、お尻の後ろ下部分が鞍の後橋につく(座骨は鞍から離れている)のが正しい。静止した状態で尻が完全に鞍から離れている姿勢がツーポイントとして紹介されることがあるが、これは間違いである。

  (2)ツーポイントの駆足ではなぜ尻が鞍から離れても安定しているかといえば、駆足になれば手綱を控えるから、鐙と手綱でバランスをとるので尻は後橋についていなくても安定した姿勢になる。ただし、手綱を引っ張ってはいけない、と書いてあるが、倒れようとするものを手綱で支えると結局引っ張ることになるのでは? ほんのちょっと引くだけの力でバランスをとれるほどに鐙だけで立てということなんだろうなぁ。

 (3)鐙は親指側でなく、小指側で踏むこと。
この説明にはびっくり。小指側で踏めというのは初めて知った。この乗馬ライフの解説では、つま先を開かないように乗ると脚の前後の可動範囲が広がって安定が取りやすくて良いと説明されていたので、つま先を開かずにできるだけ両足の裏を平行にするには小指側で乗るのが良いと言うことか。ちょっと試してみたが、小指側を踏むと踵が外に出るようになるので、つま先を開かずに済むようには思えた。
 ところで、H先生の指導は、足先を開くと鐙革が脚に密着して脚の可動範囲が狭まって(グラグラしないから)安定して良い、ということなので、この乗馬ライフの解説とはまったく逆。

 (4)ツーポイントでの馬の推進は脚による扶助ではなくて、体重のかけ方による扶助によること。
体重をどのように掛けろとは書いてない。関節をつなげなさいというようなわけの判らないことが書いてあるが、体重を鐙にちゃんと掛けろということらしい。膝をクッションにして、鐙に掛かる体重をフワフワと抜いたりするのは間違いだと。

  ということで(1)-(3)はH先生の教えてとまるで違う。権威ある(?)乗馬ライフの解説テキストだから正統なツーポイントというのは、こういうものなのかも知れないが、どちらが正しいのか判らない。先生にも、「乗馬ライフにはこんなことを書いてありますが、、、?」というようなことは聞いていない。教わっている先生に、「あんたの言うこと間違っているんじゃないの」と言っても仕方がないから。


立ち乗りでの推進のための脚の使い方

 最近立ち乗りでの馬の推進について以下のことを教わった。以前に教わったこととずいぶんちがっていて、上の乗馬ライフに載っていた方法と同じ(細部は違うが)なのかしら?と思えるような方法。休憩時間に私が乗馬ライフを読んでいたのを見ていたので、説明の仕方を乗馬ライフ流にしたのではないかと思えるほど。

 以前の方法は積極的に脚を操作して馬腹を圧迫するという方法だったが、今度教わった方法は自分から脚を動かすということはしない。体重を鐙に掛けることによって自然に脚が内側に閉まることを利用して馬腹を圧迫する。

 この方法だと、馬が駆けることによって騎乗者の体が上下動をする、その上下動の力で自然に馬腹が圧迫されて、一歩ごとに「前に行け、前に行け」という扶助になってまことに好都合なのだという話。しかも、体が沈み込むタイミングで圧迫するから、タイミング的にもちょうどよいということ。

 ポイントは、馬腹を圧迫するのは踵でなく脹脛部分だということ、体重を全部鐙にしっかり掛けるということ。踵で馬腹を蹴ろうとか、踵で圧迫しようとかするとうまくいかない。馬を推進する扶助は踵でなく脹脛での圧迫。

 この絵は、騎乗者を前から見た絵。しっかし踵を下げて体重を鐙に載せる。

 障碍用に鐙は短くしてるので普通より鐙の位置は高く、鐙革も通常より外向きに傾いている。

 この状態で上から下に重みを掛けると、脹脛部分が内側に動かされるので、脹脛がちょうど馬腹のもっとも膨らんだ部分を圧迫することができる。

 体重が両足に分散して、両足に掛かった体重が鐙に掛かり、鐙に掛かった力は鐙革で鞍に引っ張られ、この力が馬腹を圧迫する力になる。意図的に脚を締めなくても、体重で自然に脹脛が馬腹を圧迫する。

 膝や腰をクッションにして鐙に掛かる体重を抜くようなことをしては、馬腹を圧迫する力が生じない。体重は足腰で吸収することなく全部鐙に掛ける。

 乗馬ライフに解説してあった、「関節をつないで体重で推進する」というのは、こういうことを言っているのかなと思えるが、素人考えだからどこまであたっているか判らない。

 この絵は右足を前から見た絵というつもり。鐙に掛けた右足に掛かる体重が絵の重りの重さ(1)であり、脹脛が馬腹を押す力が(2)。

 この絵のように蝶番でつないであって、グラグラ動く棚に重りを載せると、重りが棚を下へ押す力(1)は、棚を右側に押す力(2)になるという訳です。これは棚がしっかり作られており(絵の赤丸の部分)、蝶番から上の部分が固定されていたら力学的には当然のこと。(1)の力が強ければ強いほど、(2)の力は大きくなる。

 棚の形がこういう形でないと、(1)の力は(2)の押す力にならない。また、蝶番から上の部分がグラグラでもダメ。

 こういう原理で体重を馬腹を圧迫する力に変えるのなら、乗馬ライフに紹介されているように「鐙は親指側でなく小指側で踏め」というのも解るような気がする。小指側で踏めということは、左の絵で棚から遠いところに重りを置けということで、赤丸近くに重りを載せるよりも、赤丸から遠いところに重りを置く方が(2)の力は大きくなる。

 ただし、この絵はH先生が説明してくれたものではない。こういう絵で原理を説明されれば、私は納得するなぁ、という思い込みの絵。



立ち乗りでの曲がり方

 立ち乗りでも曲がる場合は開き手綱を使うのが良い。開き手綱を使うと同時に脚を下の絵のように使う。

 立ち乗りで曲がるときは、曲がる方向の足(内方脚)の脹脛を回して踵を前方に出すようにして、膝を緩め(膝で鞍を締め付けているわけではないが、立ち乗りだと膝は鞍にほとんど接触している。この膝を鞍から離すようにする)る。

 左の絵は右方向に曲がるときの脚の使い方。右足の脹脛を時計周りにひねって踵を前に出すようにして、膝をぐっと緩める。

 曲がる角度によって出し方を調整するが、ほんの数cmでよい。膝はゆるめて脹脛下部で曲がれの扶助を行う。

 下は、曲がるときの足の扶助と目線の関係で悪い例。

 この絵のように回転の内側(回転してゆく先の方)を見て、上の絵の扶助をやると不思議なことに、体重が左脚に掛かる。

 右に回るのに体重は回転の外側に掛かることになってしまうので、極端な場合は馬は右へ曲がらずに左によれて進んでしまう。

 ちょっとした目線なのだが、実際はこれによって体のいろいろな部位が右に曲がるぞと反応して体勢が崩れる。その影響で左足にやや偏って体重を掛けることになってしまうらしい。



 この絵は正しい視線の方向。

 本当は馬の左耳方向を見る程度でよいが、悪い点(内側を見る)がなかなか直らないので、H先生は外側を見ろと言う。

 このように視線を外に向けると、右足を絵のように回して膝を開いたときに、左右比べると右に多目に掛かっているかなという程度だが、右足に体重が掛かる。

 右に曲がりたいのだから、右側に体重が掛かるほうが自然で、これによって馬も自然に右に曲がるということらしい。




 立ち乗り前傾で曲がる場合は、上の絵のように目線に気をつけ、内側の足を回してやや前に出して膝を緩めることの他に、特に尻の位置に注意せよというH先生のお話。尻は鞍から浮いていますから注意していないと鞍と尻の関係がずれ易い。

 で、先生は回っている間中、「ケツの穴で鞍壺を追って」と声をかけてくれる。鞍と尻が離れていても坐骨は鞍壺の真上にないとダメだということで、馬が曲がってゆくにしたがって動いてゆく鞍を、意識して尻で追いかける(鞍壺の真上に坐骨をもってくることを心がける)ようにせよ、という。「はい、そうそう そうです」と言われたときはたしかに馬の回転もスムーズで、自分でもなるほどと思える。


・ツーポイントと鐙位置

  乗馬ライフの解説によると、ツーポイント姿勢では鐙に立った時に後ろに倒れるのを手綱を引く力で支えて体を安定させるとある。そうだとすると、下の絵のようなことが言える。

鐙に立って乗るツーポイント姿勢では、体重は全部鐙に掛かる。

 鐙は鐙革托鐶(絵の赤い点線の丸)にぶらさがっているから、安定して乗るには、体重(赤い垂直の矢印)と手綱を引く力(横向きの短い矢印)の合力(青い太い矢印)が鐙革托鐶の位置(絵の赤い点線の丸)を通る必要がある。また、鐙もこの青い線の位置になければいけない。そうでないとぶらぶらした鐙は体重を支えられない。従って左のように重心位置が後ろだと鐙はかなり前に押し出される格好になり、体をバランスさせるために手綱を引っ張る力も強くなる。

 左側の絵のように騎乗者の重心が鐙革托鐶の位置よりも後方だと手綱を引く力も大きくないと安定しない。たとえば、重心が鐙革托鐶よりも6cm後ろ、30cm高い位置(この高さで手綱を引くと仮定)にあると、体重が60Kgなら、60 × ( 6 ÷ 30 ) = 12Kg重 の力(手綱一本あたり6Kg重)で手綱を引かないと安定できない。

 右側の絵のように重心を前よりにすると、たとえば、重心が鐙革托鐶よりも1cm後ろでほかの条件が上と同じだとすると 60 × ( 1 ÷ 30 ) = 2Kg重 の力(手綱一本あたり1Kg重)で手綱を引くだけで安定。

 ちなみに、重心が鞍壺の真上にくるほど後ろにすると重心は鐙革托鐶からおよそ15cmは後ろになるから、 60 × ( 15 ÷ 30 ) = 30Kg重 の力で手綱を引っ張らないと安定しない。

 手綱をひっぱてもよい強さはよく判らないが、騎乗者の重心は相当前に置かないといけないことが解る。

 鐙が鐙革托鐶にぶら下がっている構造であるかぎり、騎乗者の体重(と手綱を引く力の合力)は鐙革托鐶の上と鐙の両方を通らなければいけないから、ツーポイント姿勢では体重を鞍壺に掛けることは不可能で、重心は鐙革托鐶のほぼ上におかないといけない。「重心は鞍壺の上が正しい」という原理(?)と合わない。重さをどのように馬に掛けることが良いのか?鞍の構造はどうあるべきなのか?科学的分析はほとんど行われていないのではないかというような気がする。


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(1)絶対に障碍を注視するな。

  障碍の横木などを注目すると障碍の方からゆっくりと近づいてくるというスロー感覚にならず、スピード感も増して、障碍の幅も狭く見えるようになるなど悪い副作用が沢山出る。障碍そのものは絶対に見ず、障碍の先10m程のところを見る

 この目線は悪い例。

 障碍を跳ぶことに気を奪われて、障碍を注視し過ぎ。障碍を注視すると、体勢が前かがみ、背中がまるまりがちになり正しい飛越姿勢がとれない。

 また、障碍を注視することにより、障碍に対するスピード感が増す。

 障碍を跳ぶときは、絶対に障碍そのものを注視してはいけない。


 これは良い例。

 障碍を見ずに、障碍の前方10mほどのところを見ている。見るところは、顔を上げて見たときに首が上向きすぎて苦しくないような範囲でできるだけ遠くを見るようにする。この距離がだいたい10から13mぐらい。

 この目線だと、障害の方からゆっくり近づいてくるように見え、障碍に近づくにつれて障碍の横幅がどんどん広がって見えるので、跳ぶときに余裕が出る。

 馬の気合が入って、そうとう速い駆足で障碍を跳ばれても、この目線だと、さほどスピード感がなく、慌てることもない。

(2)騎乗している人間が、踵を上げてぴょんと跳んではいけない。

 障碍が高くなるほど、馬が跳ぶときに、思わず騎乗者もぱっと跳んでしまう。このため、つま先下がりになってしまう。

 跳ぶのは馬であり、人は乗っているだけ、人が跳ぶ訳ではない。騎乗者はあくまでも踵を下げて乗る。

 日常生活では、なにかやろうと身構えるときは踵を浮かせる。

 前方に障碍があってこれを越そうとすると踵を浮かせて爪先立ちになってぴょんと跳びこす。

 障碍を馬で跳ぶときも、この癖がでて、思わずこの絵のように、人が爪先立ちになって障碍をぴょんと跳んでしまう。

 これをやると、騎上でつま先が下がり、踵が浮いて姿勢が安定しなくなる。


(3)回転内側を見るな。

  障碍へ向かうときはだいたい回転してから馬を障碍に向けて、馬が障碍にまっすぐ向いてから脚による扶助で加速する。馬が障碍にきちんと正対するまでは加速してはいけない。

 で、回転して馬を障碍に向けるときに、障碍の位置や方向が気になるから、つい障碍の方向(だいたいは回転内側)を見てしまう。

 立ち乗り(ツーポイント)前傾姿勢で回転内側(左の絵の赤い矢印方向)を見ると、どうしても前傾している体が右へ曲がる。すると、この絵のように、お尻が左に振れるために体重が回転外側に掛かってしまうことになる。

 このため、馬は左へよれて進む。ということで、回転内側を見て体勢を崩すと馬が思い通りには曲がってくれないので、障碍に対して馬を正対させることが難しくなる。

 通常の回転と同様に、曲がるときは目線をやや回転外側に保つほうが良い。

 この外側を見るというのは、馬場馬術でも必要。


(4)馬の首を回転方向に正しく向けて乗らなければいけない。

  前進気勢の強い馬だと一つの障碍を跳んでから、次の障碍に向って行くときにダッと加速する場合がある。跳ぶ気十分で良いこととも言えるが、ここで騎乗者が慌てて手綱を引いてスピードを抑えようとしたときに、馬の首が回転してゆく線上の向いていないと危険。

 この絵のように馬の首が回転外側を向いているとする。そして、馬はこの姿勢でも次の障碍を跳ぼうと左回転をして加速したする。

 そのまま乗っている方がましだが、スピードにビビった乗り手が手綱を引いてブレーキを掛けると、このように首が曲がった状態では左右均等に効き辛く、この絵の場合はどうしても右に曲げる力が強く働いて、前進気勢の強い馬だと、ダッと右回転を始めてしまう。

 乗り手は高速な左回転の遠心力に負けないように左荷重になっているから、ここで急に右に曲がられると簡単に左側に放り出されて落馬する。

 落馬しなくても、こんどは慌てて左手綱を引っ張ったりするから、こんどは馬は急な右回転から左回転(左の絵の赤い実線の矢印)を始めてしまうので、こんどは右に振り落とされる。

 馬の首が正しく回転方向を向いていると、このような急な思いがけない曲がりを防止することができる。



 


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  障碍の3完歩手前からは馬の軌道の修正はできない(跳ぶのは馬任せ、人は馬が跳ぶのを邪魔しない)そうです。それまでに馬をまっすぐ障碍に向けておく必要がある。

飛越アニメ 馬は跳ぶ寸前には、やや歩度を詰めて後脚を前脚のすぐ後ろへすばやく踏み込む。

 タッ タ  タッ タ というテンポが一瞬 タタ となって変わる。このとき馬の首が上がり尻は若干沈み込んだようになり、馬は跳ぶ勢いを示すので、すばやく鐙に立って馬において行かれないようにする。

 最高点に達したときから 馬の前脚が着地するまでの間は 馬の尻が跳ね上がった状態になるから、鞍でお尻をカチ上げられないように、しっかりと立って鞍とお尻の距離をとっておく。

 立つタイミングと鞍にぶつけられないようにお尻をしっかり鞍から離しておくことが大切。

(1)馬が後脚を前脚のすぐ後ろへすばやく踏み込み首が上がり始めたとき鐙に立ち上がる。
跳ぶ寸前
  障碍は見ずに、顎を出し気味にして、障碍の向こう側 10mほどの所を見る。






(2)馬が跳ぶ勢いに置いてゆかれないように、ぱっとすばやく前方上方へ立つ。
踏み切り
 といっても大体は怖いので必死で前に体を出すから、よっぽど(跳ばないと)油断をしていない限り、置いてゆかれて後ろへ落ちることはない。

 ただし 後ろには落ちないが、きちんと立っていないと、障碍を越えて着地寸前に馬の尻にカチあげられて空中へ放り出されてしまう

 馬の首と騎乗者の体はグッと接近する。

 背中を丸めてはいけない。

(3)馬の前脚が着地。
着地寸前
 体を起こす。着地の衝撃で体は下前方に向けて強い力を受けるので ここで体を起こしておかないと 次のタイミングで顔面を馬の首にぶつける

 馬体の前傾がもっとも強くなる。



(4)馬は着地し、馬体の下方への運動は停まる。
着地完了
 騎乗者は引き続き下方へ運動し続け、着地の衝撃はこのタイミングで騎乗者に伝わる。

 馬の首に顔面をぶつけないように体を起こしておく。





(5)体を起こして通常の姿勢に戻る。
次の障碍へ


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